ページの先頭です

西田助手研究概要

動物細胞の増殖は正確な細胞周期の進行により制御されている。細胞周期の制御は細胞周期エンジンであるサイクリン依存性キナーゼの活性制御によってなされ、この活性制御に働く様々な因子が同定されている。細胞周期制御因子の多くは、細胞周期に依存した遺伝子発現制御を受けるだけでなく、タンパク質のリン酸化、さらにユビキチン化などの翻訳後修飾により、その活性、タンパク質量が厳密に制御され、その制御機構の破綻は異常な細胞増殖を引き起こし、がん化へと導くことが知られている。我々はこのようなタンパク質の翻訳後修飾の一つであるSUMO化に注目し研究を行っている。

SUMO化によるタンパク質の機能変換の解析

SUMO(Small ubiquitin-related modifier)は標的タンパク質に共有的に結合する修飾タンパク質で、ユビキチンと類似した構造をもつユビキチン様タンパク質である。SUMO化システムはユビキチン化システムに類似し、タンパク質のリシン残基にSUMOがイソペプチド結合する(下図)。SUMOの発見から約十年が経ちこれまでに多くの標的タンパク質が明らかにされてきた。この間、我々はp53, MDM2, androgen receptor, Ets1など、細胞増殖、細胞のがん化に関わるタンパク質がSUMO化によりその機能が制御されていることを見出すとともに、これらのSUMO化を促進する新たな因子を発見した。今後もいまだ未知な部分の多いSUMO化によるタンパク質の機能変換とSUMO化の制御機構の解明を目的とした研究を行いこの分野に貢献していきたい。

SUMO化システムの図